相続税申告には期限が定められており、期限内に申告だけでなく納付まで済ませる必要があります。しかしながら、納付を終えた後に、本来納付すべき金額よりも少なく、あるいは多く申告納付してしまったと発覚することも少なくありません。そのような場合の手続き方法として、こちらのページでは、「修正申告」と「更正の請求」についてご説明いたします。
納付額が少なかったときは「修正申告」を
相続税申告を終えた後に、申告した財産額よりも実際に取得した財産額の方が多いことが発覚したなど、本来納付すべき金額より少なく申告納付していた場合は、「修正申告」を行い、追加の納税をします。
修正申告が必要となるケース
修正申告が必要となるのは、以下のようなケースが挙げられます。
- 遺産分割協議が難航し、相続税申告の期限に間に合わなさそうなので、ひとまず法定相続分の通りに遺産分割したものとして期限内に相続税の申告納付を行った。その後、遺産分割協議がまとまり、申告した財産額よりも多い金額の相続財産を受け取ることになった
- 申告し忘れた相続財産があった、または申告後に新たな相続財産の存在が発覚した
- 受け取った相続財産に高い価値はないと思っていたが、相続税申告後にその財産の正しい価値が分かり相続税の課税対象と発覚した など
ご紹介した3つのケースのうち、(2)や(3)については、事前に財産調査を徹底的に行っていれば、修正申告の手間を回避することができたと考えられます。
修正申告は気づいた時点で早急に行いましょう
修正申告書に提出期限は設けられていません。しかしながら、修正申告が必要だと気づいたらできる限り早く行うことが大切です。
修正申告を行うと、延滞税というペナルティが発生します。この延滞税は法定申告期限の翌日から起算し修正申告日までの日数に応じて加算されますので、できる限り早く修正申告した方がペナルティの負担を軽減させることができます。
さらに、万が一税務署から税務調査の連絡を受け、納付額の不足を指摘されてから修正申告してしまうと、延滞税に加えて過少申告加算税の納付も必要となってしまいます。税務調査により更正を受けるよりも前に、自ら進んで修正申告を行っていれば、ペナルティは延滞税のみで済みます。
なお、修正申告が必要だと分かっていながら故意に隠ぺいした場合は、さらに高額なペナルティが生じる可能性もあります。正しく申告納付することがご自身の財産を守ることにもつながりますので、相続税申告は正確に行うようにしましょう。
相続税を払いすぎていたときは「更正の請求」を
相続税申告を終えた後に、納付額が多すぎたと発覚した時に行うのが「更正の請求」です。更正の請求を行えば、納めすぎた税金を税務署から払い戻してもらえます。
更正の請求が必要となるケース
更正の請求が必要となるのは、以下のようなケースが挙げられます。
- 遺産分割協議が難航し、相続税申告の期限に間に合わなさそうなので、ひとまず法定相続分の通りに遺産分割したものとして期限内に相続税の申告納付を行った。その後、遺産分割協議がまとまり、申告した財産額よりも少ない金額の相続財産を受け取ることになった。
- 相続税申告後に、被相続人が遺した遺言書が見つかった
- 遺留分侵害額請求権の行使などによって、相続税申告後に財産の取得分に変化が生じた
- 遺贈を受ける人が、遺贈の権利を放棄した など
更正の請求には有効期限があります
更正の請求には有効期限が設けられており、法定申告期限から5年以内に行う必要があります。法定申告期限は「被相続人の死亡を知った日(相続の開始を知った日)の翌日から10か月」ですので、更正の請求の期限は「被相続人の死亡を知った日(相続の開始を知った日)の翌日から5年10か月」ということになります。
ただし、特殊な事由があった場合は期限を超過した後でも更正の請求を受け付けてくれる場合もあります。
修正申告や更正の請求を行うべきかどうか判断に迷う場合は、早急に相続税申告の実績が豊富な専門家に相談し、判断を仰ぐことをおすすめいたします。
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