このページでは、実際に相続放棄する際に必要となる手続きの流れについてご説明いたします。
(1)必要書類の収集
まずは相続放棄の申述の際に必要となる書類を収集します。主な必要書類は以下の通りです。
- 申述人(相続放棄する人)の戸籍謄本
- 被相続人の住民票除票または戸籍附票
- 被相続人の死亡が記載された戸籍謄本
ただし、被相続人と申述人との関係性(配偶者、子、親、兄弟姉妹など)によって必要となる書類は異なります。例えば被相続人の親や兄弟姉妹が相続放棄する場合は、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本なども必要です。
(2)相続放棄申述書の作成
相続放棄申述書は裁判所のウェブサイトなどからダウンロードするか、家庭裁判所へ直接取りに行きます。
申述書には、申述人の本籍・住所・氏名や被相続人の情報のほか、相続の開始を知った日、相続財産の概略、相続放棄の理由を記入する欄もあります。記入に不備があると申述が受理されないため、 正確に記入しましょう。
(3)相続放棄の申述
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ、相続放棄申述書と(1)で収集した必要書類を提出します。これらの書類は郵送での提出も認められています。民法により、相続放棄の申述ができるのは原則として「自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内」と定められていますので、必ず期限内に申述しましょう。
(4)照会書の返送
相続放棄申述書および必要書類を提出すると、数日後に家庭裁判所から照会書という書類が送付されます。これは家庭裁判所からの質問状で、回答を記入する欄がありますので、必要事項を記入のうえ必ず返送しましょう。
この照会書への回答によっては相続放棄が却下される場合もあります。一度相続放棄が却下されてしまうと、再び相続放棄の申述を行うことはできないため、慎重な回答が必要です。
(5)相続放棄申述受理通知書の受領
照会書への回答に問題がなければ、返送から1週間~10日ほどで相続放棄申述受理通知書が届きます。これは相続放棄が正式に認められたことを知らせる書類です。これはあくまで「通知」で、相続放棄したことを第三者に証明するのは「相続放棄申述受理証明書」という別の書類になります。債権者などから相続放棄の証明書の提示を求められた場合は、裁判所の窓口あるいは郵送にて、相続放棄申述受理証明書の交付申請を行いましょう。